国家公務員総合職のエキスパート】池田俊明講師による受験生応援コラム第2弾

国家公務員は、地方公務員と異なり「試験に合格すれば採用」とはなりません。

採用されるためには、「官庁訪問」というラスボス(!)を突破する必要があります。

特に、総合職の官庁訪問は期間が長い上に倍率も高いことから、このコラムを読んで、早期に万全の対策を心掛けましょう。

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国家総合職の官庁訪問とは?

官庁訪問とは、志望府省等に採用されるための最後の関門です。

総合職は、試験に合格するのも大変ですが、試験に合格しても、この官庁訪問で志望省庁から内々定がもらえないと、翌年4月からキャリア官僚として勤務することができません。

では、官庁訪問はどのくらい大変なものなのでしょうか。

前回コラムの表から明らかなように、採用者数は最終合格者の3割程度の水準にあります。

さらに、採用者の中には過年度の合格者も含まれていることから、実際には、官庁訪問の競争倍率は4倍近い厳しい状況にあるものと推測されます。

官庁訪問のスケジュール(2024年の事例)

当該年の官庁訪問の詳細については、毎年2月に発表されます。

下のスケジュール表を見れば明らかなように、官庁訪問は2週間にわたる長期戦であり、また、訪問に際してはいくつかのルールがあります。

以下、2024年の事例でお話しします。

官庁訪問開始前(事前予約)

官庁訪問の事前予約は、2024年6月3日(月)午前9時から6月11日(金)午後5時までに間に、メール、WEBシステムから予約することが可能です。

ただし、各省庁ごとに予約期間や予約方法が異なりますので事前に確認をしましょう。

事前確認後に、志望する省庁に官庁訪問の事前予約申し込みを行います。

  • 官庁訪問は事前予約が必要
  • 予約受付期間・申込方法は省庁によって異なるため事前確認が必要
  • 官庁訪問は希望日を優先するが、状況によっては別日を提示される
  • 予約は1日1省庁(複数の省庁に対して同一日を予約できない)
  • ルールが守れない場合は各省庁の職員と会うことができない

官庁訪問開始後

2週間に及ぶ官庁訪問ですが、日程的にいくつかのまとまりに分け、それぞれのまとまりを「クール」とよんでいます。

各クールにおいては同じ省庁を連日訪問することは禁止されています。

例えば、第1クールは3日間ありますが、1日目:A省、2日目:B省、3日目:C省という順で訪問するのはいいけれど、1日目:A省、2日目:B省、3日目:A省、というのは、1日目と3日目が同じ省になっていることから禁止されています。

1日目2日目3日目
A省B省C省
A省B省A省不可

①2024年6月12日(水)~14日(金)(第1クール)

第1クールの各日のみ午後8時30分から訪問開始となります。

第1クール内で同一の省庁への官庁訪問は3日間のうち1回までとなり、同じ省庁に2回訪問することはできません。

オンラインを希望する受験者に対しては、オンラインで対応することも可能です。

ただし、各省庁の判断により対面の面接ではなく、オンライン面接のみ実施する場合もあります。

②2024年6月17日(月)~19日(水)(第2クール)

第2クールは午後9時から訪問開始となります。

第1クール同様、基本3か所かつ3日に1回しか同じ省庁を訪問できません。

基本的に、多くの人は、第2クールは第1クールと同じところを同じ順番で訪問することになりますが、第1クールで切られてしまった場合、第2クールでは違うところを訪問することができます。

また、一部の省庁を除いて、第2クール以降では霞が関で面接を実施することになります。

遠方の受験生の方は、短期間で宿泊先の確保を要求されますので、事前準備をしておきましょう
(人事院が宿泊施設を紹介していますので、そちらを活用するのもいいでしょう)

③2024年6月20日(木)~21日(金)(第3クール)

第2クールと第3クールの間でリセットされ、訪問先の順番も自由に変更できます
(たいていは、第2クールまでで最も感触の良かった省庁を第3クール1日目に訪問しますが…)

また、ここからは2日間となるので、訪問できるところは基本2か所のみとなります。

なお、この2日間については、これまでと同様、同じ省庁を連日訪問することはできません。

④2023年6月24日(月)(第4クール)

第3クールが終わるとリセットされ、第4クールは任意の省庁に訪問することが可能です。

新しい省庁に訪問することも問題ありません。

2023年6月22日(木)午後5時以降に「内々定」の通知を受けることになり、長かった官庁訪問はようやく終了となります。

官庁訪問の面接内容

基本は、1対1の面接が中心です。

ただし、省庁により、面接の形式や内容はそれぞれ異なります。

集団面接グループディスカッションが課せられているところもあったり、コロナ禍で顕著になった、ZOOM、Teams、Skype等を使用したオンライン面接が挙げられます。

また、1日に行われる面接回数も省庁によって異なります。

面接に関して、いろんな呼び名がありますが、大きく分けると次の2通りに分けられます。

①人事課面接、秘書課面接 またはブース面接

基本は、志望動機や自己PR、省庁でやりたいことなど、民間企業とほとんど変わらない面接形式です。

②原課面接

実際に働いている職員の方のところに行って30~1時間弱話をするというものであり、官庁訪問ならではの面接形式です。
(席が隣り合った2人が長時間話し込むというスタイルをとっているところもあるので、典型的な面接をイメージしていると面食らうかもしれません…)

OB・OG訪問で仕事の話を聞くイメージに近いです。

官庁訪問当日の流れ

A省の官庁訪問における1日の流れ(参考イメージ)
8:30 受付
9:00 原課面接①
・政策・制度等担当職員による面接、業務説明など
  待機
  原課面接②
12:00頃 昼休憩・待機
13:30頃 原課面接③
  待機
夕方 採用担当による面接①
  待機
  採用担当による面接②
18:00 終了
 →当日又は後日、次のクールの訪問などに関する連絡

オンライン官庁訪問1日の流れ

といっても、これだけではイメージできないので、私のところの元受講生(もちろん、今は現職です)が実際に体験したオンライン官庁訪問の1日をちょっとだけ紹介しましょう。
(もちろん、省庁によって、やり方は異なるので、参考程度に考えてください)

8:00   採用担当 ○○様から激励のお電話をいただく。
8:30   面接用Zoom URLが送られ、「9時から順次面接を進める」との一斉メールが届く
(緊張で軽い腹痛。パンフレット等を読み返して待つ)。
9:15 面接
(約30分)
着信があり、面接実施(約30分)。 ○○局 ××様
聞かれたこと 志望動機
関心のある政策分野とその理由
国際協力から国家公務員への志望が変遷した理由
過去のボランティア経験
ストレス解消法
併願先の状況と各志望度
聞いたこと ××さんのこれまでの経歴
2~3年の部署移動について
学生当時の官庁訪問エピソード
所感 Zoomの使い方や事前面談会のシステムには詳しくないような様子で、「私も初めてなの、ごめんね」という感じだった。
背後がかなり騒がしく、相手の声が聞き取りにくかった。
12:43 面接
(約30分)
着信があり、面接実施(約30分)。 △△様 (人事の方)
聞かれたこと 志望動機
志望動機が生まれるきっかけや原体験
興味の変遷
卒論について
聞いたこと ■■省の政策の重要さ
△△さんがこれまで携わった政策
所感 詰められるような質問はほとんどなく、雰囲気は終始和やか。
こちらが話すことにも共感していただきながら、こちらの話から派生して■■省の魅力を教えていただけたように感じる。
16:26 原課面接
(約60分)
着信があり、原課面接実施(約60分)。 ●●様 (大臣官房)
聞かれたこと 学士論文について
他省庁の志望動機・関心分野
聞いたこと 現在の業務
■■省入省理由
短いスパンでの部署移動のいいところ
所感 (追加質問に期待をして)聞かれたことに端的に答えるよう心がけていたが、深掘りされることなく次の話題に移りがちで、薄い情報になってしまったので、相手によってコミュニケーションに緩急をつけないといけないと感じた。
19:50   ○○様より着信あり
「関心分野の幹部の話を聞いてもらいたいがなかなか捕まらなくて申し訳ない。職員の都合がついたので数分後に面接を開始する」とのこと。

19:52

原課面接
(約50分)
原課面接実施(約50分)。 ◇◇様 (□□局課長補佐?)
聞かれたこと 特になし
聞いたこと 現在の業務
自身の子育て・育休取得経験
国と地方・民間団体の連携や役割分担
現場の声を聞く大切さ
スピード感・補正予算
これまでの経歴と部署移動のメリットについて
■■省の行政官に重要な資質
所感 ・原課面接の調整は、面接直前にやっているのかと驚いた。
・職員さんは終始忙しそうで、貴重なお時間をいただいているのだとありがたく感じた。
・原課面接では、質問攻めになりすぎやすいので、適宜感想や自分の意見を述べると、そこからまた話が広がることがわかった。
23:10 出口面接
(約15分)
出口面接(約15分) 評価が伝えられる。

どうですか?早朝から深夜までPCに向き合う1日、想像しただけでもきつく感じますよね?

面接相手は次々代わりますが(当然ながら、面接者の年次は次第に上がり、そして訪問者数は次第に絞られていく…)、基本的には内々定解禁までこんな日々が続きます。

官庁訪問に必要な対策とは?

さきほどの官庁訪問の一日を読んで、同じような質問が結構な回数聞かれることに気付きましたか?

一部の予備校や自称面接アドバイザーは、変わった質問の一例をちょっとだけ紹介して、「こういう質問にはこう答えればよい!」みたいな虎の巻を伝授しているようです。

しかし、長期間、早朝から深夜まで延々と繰り返される官庁訪問では、小手先の話術は通用しませんし、ボロが出ます。

口下手でもちゃんと採用されるのが総合職ですし、むしろ立て板に水で滔々と話す人は、にこやかに面接が進行こそしますが、次のクールに残っていないことの方が多いくらいです。

では、官庁訪問に向けて何をすればよいのでしょうか?

「官庁訪問は面接の繰り返しだから、試験に目途がついてからはじめればよい」という発想だけは絶対に持たないようにしてください。

全員が合格者という集団から、3~4分の1にまで絞り込まれるのが官庁訪問なのですから、長期にわたる準備が必須であると認識を改めてください。

①情報収集

各省庁とも業務説明会や政策セミナー等様々なイベントを日常的に積極的に実施しているので、面倒くさがらず参加してください。

特に、第2次試験日以降は、受験者に対する業務説明等の広報活動については限られた回数しかないので、説明会にほとんど足を運んでいない人は、すぐに行動に移しましょう。

くれぐれも、官庁訪問期間中、控室で待機している間に省庁のパンフレットや白書を必死になって読み込むようなことだけはしないようにしましょう。
(ネットや本でいくら情報収集しても、足を運ぶことを億劫がっている人に良い結果はもたらされないことを自覚すること!)

②エントリーシート作成

数年前までは、訪問先省庁で直接記入するケースがほとんどでしたが、コロナ禍とDXがそうした慣習を一変させ、現在では多くの省庁では、ESを事前に作成しメール送信もしくは持参してもらうようになっています。

全ての省庁ではありませんが、過年度のものをまだ掲載しているところもありますので、このコラムを読んで思い立った方は、早速ダウンロードして、自分で一度ESを作成してみましょう。

③模擬面接を何度もやる(必須!)

エントリーシートを作成したら、模擬面接をやってみましょう。

官庁訪問ということで、例年、訪問先省庁の政策を必死になって詰め込んでいる人が多いですが、他の公務員試験ならばともかく、総合職に関して言えばパンフレットや説明会でもらったレジュメの内容くらいで十分です。

そんなことより、人事院面接の時以上に志望動機をしっかり練り上げ、それを実際に言葉で発してみて、相手の反応を確かめる作業の方がはるかに大事です。

これは、予備校ならではの煽りとして言っているのではありません!

近年、官民問わず就活における選考は早期化しています。

もちろん、内々定解禁日時等は公式発表の通りですが、解禁日まで学生に対して何の意思表示もしない企業・官公庁に、皆さんは訪問し続けることができますか?
(私見ですが、同じくらいの魅力を有する企業ならば早く意志表示をしてくれたところに行きます…。)

実際、今ではどの省庁も意思表示が早まっています(そうしないと逃げられる??)。

本当ならばじっくり時間をかけて人物を見極めていくのが理想なのでしょうけれど、時代がそれを許容しない以上仕方ありません。

「話すコミュニケーション」 最初の面接で自身の魅力をしっかり伝えられるようになっておく

官民問わず、一番最初の面接において、皆さんが自身の魅力をしっかり伝えられるよう努力をしていくことが最善の策といえます。

ゆえに、対人構築関係に不安のある方は、官庁訪問が始まるまでに、しつこいくらい点検作業をしていくことが大事だし、事実、そうした作業を面倒くさがらず行うことができた人ほど内々定を獲得できる傾向にあります。

「聞くコミュニケーション能力」 ヒアリング能力も合わせて高めていく

官庁訪問では、どこに行っても秘書課・人事課と原課の面接が必ず行われます。

政策をやたら詰め込もうとする人は、後者に備えてのことと思われますが、それはむしろ逆効果になります。

前者では「話すコミュニケーション」が、後者では「聞くコミュニケーション」が試されているといってもいいでしょう。

原課面接は、実際にその部署で働いている職員が相手です。

そこで問われるのは「初見の知識を自分なりにすぐに咀嚼して理解する力」とか「かなり多い情報(業務説明)から重要なトピックや共通する概念を抽出する力」など、「聞くコミュニケーション能力」の高さといえます。

一方、秘書課面接は「私はこういう理由で○○省を志望しました」というような、「話すコミュニケーション能力」が試されているといえます。

ヒアリング能力は相当な個人差がありますので、トレーニングをしておいて損はないでしょう。
(別に参考書を買わずとも、例えばゼミで他人の発表の骨子や理論をきちんと傾聴し、積極的に質問やコメントをするように意識するだけでかなり伸びると思います)

④タフな気持ちを持ち続ける!

官庁訪問は2週間毎日早朝から夜遅くまで拘束されますし、ライバルは全員、国家公務員総合職合格者ですから、知力に関しては大差ありません。

ゆえに、気力・体力が何よりも重要です。

そして、2週間の間には、訪問先の省庁から断られるという事態にも一度は直面することでしょう。

総合職を志望する皆さんは、これまで受験競争の勝者であり続けたのですから、心が折れてしまうかもしれません。

それでも、官庁訪問期間中はチャンスがある限り訪問を続けましょう。

諦めなかったことで、最終的に官僚になることができた受講生を、私は何人も見てきました。

中には、第1クールの訪問先が、事実上全滅という学生もいました。

それでも、最終的に官僚になることができます。

みなさん、このコラムを読んで、とにかくイメージを膨らませて、そして一日も早く行動に移してください。健闘を祈ります。

池田俊明講師による受験生応援コラム
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この記事の著者

池田 俊明講師 (講師紹介はこちら


20年以上にわたり、数多くの受験生をキャリア官僚として、霞ケ関へ送り込んだ国家公務員総合職のエキスパート。

また、現職の大学の経済学教員でもあり、試験科目として経済学が課される全ての資格試験の出題傾向に精通している。

ごあいさつ
このコラムでは、国家公務員総合職を目指す人々に正しく、そして役立つ情報を提供します。
夢の実現に向けて頑張るみなさんには、出所不明な噂に惑わされることなく、最も信頼できる心の拠り所として、このコラムを活用していただければ幸いです。

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